院長の一言

院長の一言

2008/12/26(金)「タミフル」
 
タミフルとはインフルエンザウイルスの増殖を抑制する薬で、インフルエンザの治療薬として主に日本で多く使われています。日本は世界のタミフルの70%を消費していると言われています。タミフルで問題となったのは小児の異常行動を誘発すると疑われたことです。これは今年になり関係が無いという結論になりそうですが、それでも10歳代の子供には使用できません。もう一つの問題はタミフルが効かないウイルス(タミフル耐性ウイルス)の増加です。アメリカのA型ウイルスの一種の約90%がタミフル耐性ウイルスという報告や、フィンランドでは100%のインフルエンザウイルスがタミフル耐性であったという報告もあります。日本でも鳥取県のインフルエンザの30%がタミフル耐性であったそうです。世界の70%のタミフルを使う日本の方が他の国に比べて耐性化の比率が低いのはなぜかという疑問は残ります。しかし、タミフルが使用されるまではこうした耐性ウイルスは存在しなかったですので、タミフルのせいでタミフル耐性ウイルスがこの世に発生してしまったと考えるべきでしょう。
 新型インフルエンザの流行が心配されています。そのためのタミフルの備蓄が進みつつあります。しかしそれはあくまでも新型インフルエンザにタミフルが有効と信じてのことです。今の日本は、「インフルエンザにはタミフル」ということが常識化してしまうほど使われています。そういった環境で発生した新型インフルエンザに、タミフルが効くのでしょうか。
 現在流行っているインフルエンザはタミフルが無くとも自然治癒します。一般的にタミフルを使うと熱の期間が一日半ほど短くなると言われています。老人や心臓や肺に病気を持っている人には、タミフルを使ってでもなるべく体の負担を減らしてあげた方が良いでしょう。何も病気を持っていない元気な子供にはなるべく使わない方が今後のためではないでしょうか。インフルエンザにかかっても結構元気な人や、あっという間に熱が下がってしまう人もいますよ。
 医者もタミフルを使う症例をもう少し選ぶべきでしょうし、患者さん側ももう少し冷静になって考えてみてはどうでしょうか。

2008/12/16(火)「経口補水液」
 寒い季節になるとノロやロタなどのウイルスによる急性腸炎が流行ります。ノロの腸炎は発症してから半日ほど吐き
続けることが多いですが、熱はあまり出ず下痢も2,3日で治まります。ロタは熱も高くなり激しい下痢が数日続きます。ほとんどの子供は点滴が必要となるような脱水にはならずに済みますが、経口補水液という特殊なイオン水を飲むことで点滴の必要性はさらに減ります。点滴は水分を直接血管に入れますので心臓や腎臓に負担になりますが、経口補水液は飲んでも必要のない水分は吸収されませんので負担になりません。
 経口補水液とポカリスウェットやアクエリアスとの違いは成分として含まれる電解質(ナトリウムやカリウムなど)と糖分の量です。経口補水液は電解質(特にナトリウム)が多く、糖分は少なめです。吐いたり下痢をすると電解質(特にナトリウム)が多く体から出ていきますので、さらに元気がなくなります。
 吐いている時でもスプーン1杯や一口くらいの水分なら吐かずに済みます。吐き始めからすぐに経口補水液をスプーン1杯ずつ5分おきに飲ませてあげると早く元気になります。量の目安としては1日で体重1キロあたり30〜50ccです(体重10キロなら300〜500cc)。水やお茶やポカリスウェットなどに比べると体への吸収に優れますので、効果は早く出てきます。
 経口補水液は当院ではソリタT2顆粒として処方していますが、それと同じ成分として大塚製薬のOS-1が薬局で売られています。ポカリスェットなどに比べると甘みも少なく塩分も多いですので美味しくありません。飲んでくれない時はもう少し塩分の少ないアクアライトORSやソリタT3顆粒がありますが、体から塩分が奪われた状態の時は塩水でも甘く感じますので、飲んでくれないというのは逆に体の電解質に異常が無いということでしょう。アクアライトORSは西松屋で売られていますが、当院の近所の処方箋薬局にも置いています(OS-1も)。


2008/12/8(月)「ヒブワクチン」
「ヒブワクチン」のヒブとはB型インフルエンザ桿菌のことです。B型という種類のきょう膜(細菌を覆っている膜)をもったインフルエンザ桿菌のことです。インフルエンザ桿菌は中耳炎や副鼻腔炎などを起こしますが、その場合はB型というきょう膜を持っていない
無きょう膜型です。B型は髄膜炎や喉頭蓋炎を引き起こす細菌です。髄膜炎になると三分の一の人に後遺症が残り、三分の一の人が亡くなると言われています。喉頭蓋炎は急な発熱とともに呼吸困難を呈し、息が吸えなくなる恐ろしい病気です。 
 年長児はこの細菌のきょう膜に対する抗体を作れるために重症化する可能性はかなり減り、2,3歳くらいまでは上記のような重症感染症を起こすことがあるなど、年齢によって重症度がちがうためにワクチン接種の仕方も年齢により変わります。生後7か月未満は三種混合と同じように初回3回と追加1回で、7か月以上12か月未満は初回2回と追加1回、1歳以上5歳未満は1回のみの接種となっています。
 海外に比べて日本人に発症する比率が少ないためか、これまで「ヒブワクチン」の日本への導入が遅れていました。アフリカの経済状況の悪い一部の国や北朝鮮などを除いた世界のほとんどの国でこのワクチンは公費で接種されています。12月19日からやっと日本でもこのワクチンを打てることになりましたが、輸入される本数が少ないため希望者全員に打てるわけではありません。製薬会社に申し込んでそのうちの一部の人が接取できます。費用も決して安くはありませんが、まだ三種混合を始めていない乳児をお持ちの方はなるべく申し込んでください。


2008/10/28(火)「指示に従わない子に対して(その3)」
 「指示に従わない子」というわけではなく、子供への指示の出し方のことで少々気になることがあります。子供に「〜しなさい」と言っても子供がその通りにしなかったとき、仕方ないかとあきらめてしまう親御さんが多いような気がします。従うまで「〜しなさい」と同じことを繰りかえして言った方がいいと思います。仕方ないかとあきらめるくらいなら初めからそのような指示は出さない方がいいと思います。従うまでしつこく言えば、子供でも大事なことなのかなーと思ってそのうちに従ってくれるようになります。従ってもいないのに言うのをやめてしまったら、あーどうでもよかったのかと思ってこれからも従わなくなります。もちろん従ってくれた時は、うれしいという気持ちを素直に子供に分かるように伝えましょう。

2008/10/7(火)「インフルエンザの予防接種」

 インフルエンザの予防接種の時期が近づいてきました。予防接種をしてもインフルエンザにかかってしまわれる患者さんが毎年何人かおられます。それも高熱を出す人もいます。インフルエンザの型がワクチンと感染したのとでは違ってたと言われる方がいますが、そうではないこともよくあります。インフルエンザワクチンはそもそも重症化を防ぐのが主な目的と言われています。重症化とは高熱という意味ではなく、インフルエンザによる肺炎などのことです。残念ながら脳炎のことではありません。さらにこのワクチンはブースターワクチンと言われていて、あらかじめインフルエンザの抵抗力を持っている人(インフルエンザに感染したことのある人)の抵抗力をさらに強める作用のワクチンということです。インフルエンザが流行した季節に、まだ生まれてなかった乳児や、お母さんからもらった抵抗力がまだ残っている6,7か月未満だった乳児(今の年齢からいえば1歳2カ月未満くらい)にはワクチンの効果はあまり期待できません。
 インフルエンザは主に鼻の粘膜に感染します。そこで繁殖して高熱が出ます。高熱が出るのは人間の抵抗力(免疫)が働くからです。インフルエンザ脳炎はこの時の抵抗力(免疫)の過剰反応が原因と考えられています。ワクチンで得られる抵抗力は血液中にあって鼻の粘膜にはほとんどありません。ですから予防接種をしていても感染してしまうのです。インフルエンザウイルスがまだ血液中に入らない鼻の粘膜でとどまっている時にインフルエンザ脳炎が発症してしまうので、予防接種をしていても脳炎になってしまう人が出てきます。
 インフルエンザの予防接種は意味が無いように思われるかもしれませんが、病気の期間を短くする効果は期待できます。多くの人(集団のほとんど)が接種をすれば、相乗効果でインフルエンザに感染しない人も多くなってきます。現在属している集団(家庭、保育園、幼稚園、学校など)のほとんどの人が予防接種をすれば効果が発揮されるでしょう。属している集団の中で、予防接種をすまされた人が少数派ならば、集団でインフルエンザが流行している時はそこへは行かないのが一番の予防手段です。


2008/9/18(木)「気象とアレルギー」
 台風の季節になってきました。台風の中心は強い低気圧になっています。台風に限らず低気圧が近づくと喘息などのアレルギー症状を悪化させる(喘息発作が出ること)人がいます。秋に喘息が悪化しやすい要因の一つかもしれません。春にも喘息を悪化させる人がいますが、春は移動性の高気圧の季節です。高気圧と低気圧が代わる代わる日本にやってきます。春や秋は季節の変わり目と言い、この時期にアレルギー症状を悪化させる人が多いですが、このように低気圧が周期的に日本に訪れるのが原因でしょうか。梅雨時期も低気圧が日本に停滞しますが、この時期の喘息患者はあまり多くありません。低気圧に体が順応しているためでしょう。吸入器をおうちに持っておられる方は、低気圧に伴って咳が出だしたら早目に気管支拡張剤(ベネトリンなど)を吸入して喘息発作が悪化しないように備えましょう。


2008/9/9(火)「指示に従わない子に対して(その2)」
 
前回は褒めることや褒め方の大切さを書きましたが、もう少し話を進めましょう。今回のキーワードは「一貫性」です。子供に接する態度に一貫性を持ちましょう。子供を取り巻く大人みんなが一貫性を持っていれば子供は迷わずに済みますし、大人を信用します。
 子供が同じことをしてもある人は怒るけど、ある人は怒らない。また、同じ人でも怒ることもあればそうでない時もある。しょっちゅう怒られたり注意されている子どもは怒られることに敏感です。大人の気分しだいで接し方を変えていると、その大人を信用しなくなります。
 子供にどんなことをされても同じ気分でいろというのは、大人にとっても困難なことです。それでも一貫性を保とうとする方法の一つは、次に起こることを予想することです。幼児期の子供は未来を予想したり、過去を反省して自分の行動をコントロールするのがまだ苦手です。特に指示に従わない子供は苦手なので、怒られるような同じことを何度も繰り返します。大人はそうではなく過去を振り返って未来を予想する能力があります。「今ここで子供にこういうことを言うとおそらく子供はこうするだろうな」と予想というより覚悟をしておき、ついでにその時の対応まで考えておけば、いつものように怒り倒さなくて済むかもしれません。
 その対応を夫婦間や集団生活をしているのならばその先生とあらかじめ一緒に考えておいて、なるべくその場その場で対応を変えないようにできれば、子供の態度も変わってくるでしょう。

2008/9/2(火)「指示に従わない子に対して」
 親の指示に対してすぐに従ってくれる子もいれば、そうでない子供もいます。従ってくれない子供に対してお母さんが「お願いだから〜して」と言われているのを時々耳にします。お母さんのお手伝いならお願いしても仕方ないかもしれませんが、子供のためを思っての指示ならばお願いするのではなく、従わせるべきです。しかしそうは簡単にはいかないのが現実です。
 当たり前のことですが、指示に従わない子供は両親から怒られる回数も多くなっています。自分以外の人からの指示より自分の興味や感情などの方が圧倒的に優先するのでしょう。自分の思い通りにいくことが少ないので、口ごたえをしたり反抗的な態度をとったりもしますのでさらに怒られることが多くなります。怒ってばかりいると余計に反抗的になったり、それが続くと「どうせ自分はいつも怒られている人間」と自分に対する評価を下げてしまい、投げやりになってくることもあり得ます。
 従わない子供に対して「今度言うことを聞かなかったらどうやって懲らしめてやろうか」と考えるのではなく、「言うことを聞いてくれたらラッキー」くらいな気持ちで接してみてはどうでしょう。指示に従ってくれてうれしい、という気持ちを子どもにはっきりと伝えましょう。人間は誰だってほめられたいと思っています。ほめられることで子供は自信がつきます。またどうすれば母親が喜ぶかもわかります。家族みんなが気持ちよく生活できるようになります。今日から接し方を変えていきましょう。

2008/8/5(火)「子供の言語理解の限界」
 1歳半にもなると「…を取ってきて。」とか子供に指示するとそれを取ってきてくれたりします。子供の言語理解が進んできたなとお母さんは期待します。簡単な言葉ならもう理解できるはずと思ってしまい、「これはダメよ。」「・・・はしてはいけません」のように子供を叱ると言うことを聞いてくれるのではと期待します。子供もいかにも解ったかのような顔をしながらお母さんの言ってることを聞いています。しかし、実際はダメと言ったことなのに子供はまた繰り返しています。
 言語理解がまだ不十分というのも原因の一つです。3歳くらいでもまだ十分とは言えません。お母さんが叱っている迫力に圧倒されてウンウンとうなずきながらお母さんの言ってることを聞いていますが、それを十分理解したと勘違いしないことです。
 やりたいことがあっても、「この間これをやってお母さんに叱られたから今度は止めよう。」とか「これをやったらまたお母さんに叱られるから止めよう。」など過去や未来のことを思い描いて自分の心の中と相談しながら行動を抑制することをセルフコントロールと言いますが、これがお母さんに怒られずにすむ程度にまで発達するのは5歳くらいからです。それまでの年齢の子供はお母さんの言ってることは仮に解っていたとしても「やりたい」という自分の欲求は抑制できないのです。
 叱っても叱り損だと思われるかもしれませんが、決してそうではありません。人に迷惑のかかることや危険なことはしっかりと指示して止めさせないといけません。ただその時に「これだけ叱ったらもう次はしないだろう。」と期待しないことです。期待すれば裏切られるた時に腹が立ちます。子供に指示するときには、何度も同じことを言い続けないと言うことは聞いてくれないのだと最初から思っておくことです。腹を立てて子供を叱ると、子供は恐怖感で余計にお母さんが何を言ってるのか解らなくなってしまいますし、叱るのも叱られるのも誰でも嫌なものです。


2008/7/31(木)「食べない」
 保健センターの健診で見るお母さんの悩み事の一つが「子供の食が細い」「食べた物がいつまでも口の中に残っている」「食べ物に興味がない」といった子供があまり食べてくれないことです。用意したご飯やおかずを残さずきれいに平らげてくれたらお母さんはうれしいですよね。食べてもらえないとどこか体が悪いのではないかとか、ご飯の作り方が悪くて子供の口に合わなかったのかとかいろいろ考えてしまいます。子供に何か食べさそうとするお母さんの努力や工夫は親子関係にとって大切ですが、お母さんの悩みの種になってしまうのは考えすぎていると思います。
 子供が元気であって体重が減っていくわけでなければ、食べないことはあまり心配ありません。元気ならば元気を維持するための必要最低限は食べているのです。
 お母さん方は子供が食べないのは私のせいだと自分を責めていませんか。努力も工夫ももう十分したと思われるのならば、ちょっと肩の力を抜いてみましょう。そもそも食欲は人間が生きていく上で最も大事な本能です。「食べる」ことは食欲を満たす楽しいことのはずです。子供に食べさそうと一所懸命ご飯を作り、さあ今日は食べてくれるかなと期待と不安が入り混じった視線で子供をじっと見つめる。そのような食事の場面を思い描いてください。硬い雰囲気がしてあまり楽しそうではありませんね。子供もあまり期待されるとプレッシャーを感じるかもしれません。欲を満たす本能のはずの「食べる」ことが「食べないといけない」と考えることになってしまいます。「食べる」ことが欲求を満たす楽しいことと子供が感じるには、まずお母さん自身が楽しんで食事をして、食事とは楽しいことなんだと子供に興味を持たせることです。「食べない」子供のお母さんは買い物に行ってもまず子供のメニューを考えてしまいますが、今日からは自分が食べたい物を最優先にしましょう。お母さんが美味しそうに楽しく食事をしていたら、子供も食事に興味を持ってお母さんの食べているものに手を伸ばしてくるかもしれません。
 元気な人間はお腹が空けば何か食べます。偏食への対応はまた後日。


2008/7/22(火)「冷たい物」
 これだけ暑いとアイスなどの冷たい物がどうしてもほしくなります。冷たい物を食べるとさらにまた欲しくなります。最近になって年をとったせいかよく思うようになったのは、冷たい物を食べるとしんどくなるというか体が重く感じることです。
 体温より一段と温度の低い物が胃に入ると自律神経などを介した様々な体の働きがくるってくるようです。消化液の分泌が悪くなったり胃や腸の動きが悪くなったりして、食べた物の消化がうまくいかず食欲が減るのもそうした働きの一つです。冷たい物のほとんどはかなりの糖分を含んでいますので、糖分が食欲中枢の働きを抑えて食欲がなくなるとも考えられます。
 病気で食欲の落ちている子どもに何とか食べさせようと口当たりの良い冷たい物を与えてしまいがちですが、こういう子どもにこそ冷たい物はなるべく控えたほうがいいでしょうね。

2008/7/15(火)「クーラーはなるべく控えよう」
小児集中治療の勉強にいそしんでいましたのでこの欄への書き入れがしばらくできませんでした。
 今日などは夕立とかもあってついに本格的な夏がやってきました。暑くて寝苦しい日がこれからはさらに多くなってくるでしょう。子供は大人に比べてすごく汗かきです。汗をかくとこれまでこの欄にも書いてきたような皮膚の病気になるかもしれませんし、脱水や熱中症になってしまうかもしれません。
 お部屋の温度をクーラーなどで下げることで子供に汗をかかさないようにしようと思う人もいるかもしれません。昔に比べてヒートアイランド現象とか地球温暖化などで日本の夏の温度もあがってきたようで、クーラー無しで夏を乗り越えるのはかなり困難になってきました。しかし考えてください。クーラーという文明の利器ができてからまだほんの数十年です。人類の歴史からすれば一瞬のことです。それまで人類は暑い夏でもクーラーや扇風機無しで乗り越えてきたのです。乗り越えられるような体に進化した人類のみが生き残ってきたといってもいいでしょう。
 暑い環境の中でも体温が上昇しないのは、皮膚から出た汗が蒸発する時の気化熱が体の表面の熱を奪っていってくれるからです。つまり汗をかくことは体温調節にとって大事なことなんです。
 人間には汗かきの人もいればそうでない人もいます。南方の暑いところの人はおおむね汗かきです。汗を出す腺はこのように環境によって変化します。3歳くらいまでにこのような環境への適応ができてくるようです。
 今日ここで言いたいのは、環境に耐えられるような人間に育ってくれるように、子供が元気ならばなるべくクーラーなどの人工的環境を避けて、汗をかいては汗を流して皮膚の病気にならないようにし、水分や塩分を補給して脱水や熱中症にならないようにするというようにしていきましょう。わかっていただけましたか?大人は暑いところで寝るのは苦手ですが、子供は汗でぐちゃぐちゃになりながらもよく眠れているようですよ。

2008/7/3(木)「夏の水分補給」
来週には梅雨が明けるのではないかという予報が出ています。そうならば例年に比べて10日以上早い梅雨明けになります。汗をかくと体から水分が出ていきますのでのどが渇きます。服に付いた汗が乾くと塩が噴き出ているのがわかります。汗には塩分が含まれているので塩分の含まれていない水分だけで補充していると体調が悪くなります。それでポカリスエットのようなスポーツ飲料が最近流行っているわけですが、市販されているスポーツ飲料は味も優先されているので塩分は幾分か少なめです。運動でたくさん汗をかく人にはさらに余分に塩分を補給することをお勧めします。

2008/6/26(木)
うっとうしい日々が続いております。今流行っている夏の感染症は手足口病です。手や足に小さな水疱ができ口の中に口内炎ができます。熱は出る人も出ない人もいます。膝や肘やお尻にも水疱ができることもあります。おなかの中でウイルスが繁殖しますので下痢になる人もいますし、ならない人でも肛門からしばらくの間ウイルスを排出します。唾や便で感染していきます。ウイルスをやっつける特効薬はありませんのでいわゆる「日にち薬」です。元気ならば学校、幼稚園、保育園に行けますが、発症して間がないころは熱が出るかもしれませんし、ウイルスによっては怖い脳炎を起こすこともありますのでおうちでゆっくり静養しましょう。

2008/6/21(土)「汗を流そう」
蒸し暑くなってきました。これだけ湿度が高いと汗もなかなか乾きません。汗に伴う症状が子供の皮膚に見られるようになりました。前(5/9)にも一度「院長の一言」で書きましたが、皮膚に汗が付いていると抵抗力が落ちて皮膚の細菌感染がおこりやすくなります。その一つが「とびひ」です。他にも皮脂腺や毛穴にも細菌が繁殖して炎症が起こることがよくあります。軽いものは汗をよく流すことで良くなってしまいますが、治りの悪い場合は受診してください。汗といえば「あせも」ですが、これの特徴は汗のよく溜まるところに小さなブツブツができることです。同じようなところの皮膚が赤くなって痒みのある場合は汗でかぶれているのかもしれません。「あせも」も細菌感染が起こると「あせものより」という状態になります。石鹸を使う必要はありませんから汗はよく流しましょう。汗の溜まりやすい首筋や腰の部分などにはタオルやガーゼを挟んでおいて汗を吸い取ってもらうと汗に伴う症状は起こりにくくなりますよ。

2008/6/19(木)「朝の熱は信用ならず」
最近はあまり風邪も流行っていないらしく患者さんもそうは多く来られません。高熱になられた方も翌日になると熱も下がってしまうことも少なくはありません。その点、子供は大人より治癒力があるのでしょう。ただ熱を出した次の日の朝に熱が下がって子供が元気でも、昼を過ぎると熱がまた上がってくることがよくあります。朝の熱は病気が治ったかどうかを判断するには信用できないことがあるのです。親御さん方にお願いしたいのは、前日熱があったら朝に熱が下がって元気そうだとしても学校や幼稚園はお休みください。

2008/6/14(土)「溶連菌」
溶連菌て知ってますか。溶血性連鎖球菌を略して溶連菌と言ってます。この菌による感染症はのどや扁桃腺だけでなく、中耳炎や蓄膿や皮膚の飛び火にもなったりします。体が赤くなることもあって猩紅熱と言われたこともあります。 最近というより少し前からですがこの菌による感染症が流行っています。
 以前は法定伝染病で保健所への届け出が必要でした。人から人へ飛沫感染することは以前から変わっておらず、何回でも大人でも感染します。またこの菌の感染後に急性糸球体腎炎というかなりきつい腎炎やリウマチ熱になることもあると言われています。そういった合併症を予防するためには抗生物質を10日間以上飲む必要があるといわれています。
 当院ではこの抗生物質にペニシリンGという一番原始的な抗生物質を主に使っています。何故かといえば、他の細菌に与える影響が一番少ない薬で人間の体には最も安全と考えるからです。ところが他の種類の抗生物質を使われる医院もあります。特に第3世代セフェムといわれる抗生物質(セフゾン、フロモックス、メイアクトなど)は溶連菌以外のいろいろな細菌にも効果があるように作られた薬です。こういう上等な薬から影響を受けた菌が薬に対して耐性化(薬が効きにくくなること)してしまうことが最も危惧されます。つまりこういう耐性菌による感染症が起こった時に薬が効かなくなってるかもしれないということです。こういうときの感染症には溶連菌感染症よりもさらに重症な時ももちろん含まれます。
 ただこういった上等な薬(第3世代セフェムのこと)を溶連菌に使う場合10日間も飲まないでよいという報告もあります。5日間で十分と言ってる人もいます。しかし、溶連菌は何回も再発することもありますし、5日間でも菌が耐性化することもあり得ますので、当院ではバイシリンGを10日間飲んでもらっています。

2008/6/10(火)「日本脳炎予防接種」
日本脳炎の予防接種に関することの追加ですが、9歳から13歳未満の子供も日本脳炎の予防接種を無料で受けられます。「2期」という分です。以前は「3期」もあったのですが今はなくなりました。「1期」を7歳半までに済まされた方も「2期」をされた方が十分な抵抗力が得られて望ましいと思われます。ただ先日も書きましたようにワクチンそのものの入手が困難ですので、受けようと思われる日の直前に当院に電話をかけていただいてワクチンがあるかどうか確認してください。
 母子手帳の予防接種の表にこの「2期」の接種を記す欄が抜けています。ご注意ください。ついでに書けば11才と12歳で受ける「2種混合」の接種を記す欄も母子手帳にはありません。したがって接種される方が非常に少ないです。破傷風は今でもあって怖い病気ですよ。

2008/6/5(木)「薬剤情報は大事」
当院は木曜日の夜の外来をしていますが、他の小児科医院にお休みのところが多くそこにかかっておられる患者さんがよく来られます。「お薬をもらったのですが、熱が続いています」といった場合もよくありますが、特にこういう時は今までどういう薬を飲んでいたのかが患者さんの治療のためには重要な情報です。最近はどこの医院でも「薬剤情報」というお薬の名前などが書かれたものを渡すことが多くなっていると思われます。これを持って来てほしいのです。同じ薬を出されるくらいだったらなれない医院にわざわざ来ることはなかったわけですからね。

2008/5/29(木)「日本脳炎予防接種」
 蚊が飛び交う季節になってきました。日本脳炎という病気は蚊が媒体となります。この辺りの蚊は大丈夫ですが、豚が住んでいるところに特殊な蚊が豚からも人間からも吸血すると発症してしまう可能性があります。西日本の豚には高率に日本脳炎のウイルスが住んでいます。ですので日本脳炎の予防接種は必要です。
 数年前に散在性脳脊髄炎という副作用が日本脳炎の予防接種により発症したという理由で、厚生労働省は日本脳炎の予防接種の積極的な勧奨をやめました。その時期に新しい予防接種が完成間近だったからも中止の理由なのですが、その新しいワクチンも副作用で使えなくなってしまい、今はワクチンがいつになったら出来上がるか分からない状況です。
 散在性脳脊髄炎は本来は風邪などのウイルス感染の後に起こってくることの多い病気です。日本脳炎のワクチンで発症された患者さんはほとんどおらず、発症された方の特異体質と考えていいと思います。人間側の要因で起こった反応を副作用と考えるべきかどうかという問題もありますが、ほとんどの方はこれまで副作用もなく接種されてきたワクチンですので、まず問題はないと思っております。
 日本脳炎の予防接種は1期として7歳半までに3回接種しないといけませんが、2回目と3回目の間を1年間開けないといけませんので、今6歳になっている人は1期を無料で終了させるのが困難になってきつつあります。
 当院では2期の麻疹風疹のワクチン(幼稚園の年長さん)に来られた人を対象にこのことを案内して日本脳炎の予防接種をお勧めしていますが、厚生労働省がこのワクチンを積極的に勧奨していませんので、製薬会社もワクチンを十分作ってくれません。そのためかなり品薄です。日本脳炎の予防接種を考えておられたら接種しようと思われる日の直前にお電話ください。

2008/5/27(火)「百日咳」
百日咳がぽつぽつと流行っています。咳が長引くという大人の方を血液検査させてもらうと百日咳ですという結果が返ってきますが、今まで当たり前のように言われていた白血球の増加とかリンパ球の増加を伴っていません。家族の中に百日咳の人がいると3種混合の予防接種をしていた人でもうつってしまうことがあります。そのため抗生物質の予防投与をした方がいいという人もいます。生まれて間もない赤ちゃんは百日咳にかかると呼吸が止まってしまう結構恐ろしい合併症がありますので、そのような赤ちゃんがいるご家庭に咳が長引いている人がいれば検査をお勧めします。

2008/5/23(金)「子供の話を聞こう」
この春に小学校に入学した一年生、幼稚園に通いだした子供など新たな集団生活を送っておられますが、そろそろ疲れてきている人も見受けられます。子供本人は疲れているということは実感していませんが、無意識領域の自分の心の中は疲れているようで、いろいろな症状が出つつあるようです。こういった心の内面の話はまたいずれ書くこととしましょう。ご両親へのお願いとしてはただただ頑張れと子供を応援するだけでなく、子供の話をよく聞いてあげてください。

2008/5/20(火)「お天気とアレルギー」
先週末から太平洋を台風が通過しています。台風のような低気圧が近づくとアレルギー症状の悪化する患者さんが出てきます。ぜんそくとか鼻炎の方は一度お天気との関連を注意してみてください。

2008/5/17(土)「日焼け」
また暖かい日が復活しました。数日間はお天気も良さそうです。今の時期は紫外線が気になるころです。赤ちゃんも外出時はSPF10くらいの日焼け予防を塗ってなるべく肌を露出しないほうがいいでしょう。ただ最近になって新聞にあかちゃんの骨の発育にはやはり日光浴が必要だとありました。一時期は紫外線の暴露になるだけでわざわざ日光浴をしなくても骨の発育には影響はないとされていました。紫外線を受けた方が良いのか受けない方が良いのか。
ただ長時間外出されるときはやはり日焼け予防を塗った方が良いでしょうね。特に肌の色の白い人は。

2008/5/15(木)「お勧め時間」
今週の外来診療はかなりすいています。月曜日の午前や木曜日の夜や土曜日を避けられればまず待ち時間なしで診察できています。このようにすいている時でも不思議と患者さんはかたまってこられることが多いのですが、その中に入ってしまわれたら少し待っていただくことになるかもしれません。一番のお勧め時間は午前中の10時半頃です。

2008/5/13(火)「指しゃぶり」
今日は一歳半の健診に行きました。そこで「指しゃぶりをやめないのですが」という質問をされました。唇は心理学で口唇期という言葉があるように愛情の入り口として重要な体の部分です。大人でもそうですよね。寂しい時、リラックスしたい時など指を吸って自分を慰めているのでしょう。私も恥ずかしながら小学校に上がっても指を吸っていました。母親が父の仕事の手伝いでほとんど私に関われなかったので母親代わりとして子供の頃の私は自分の指を代用したのでしょう。指しゃぶりを止めさすのは3歳以降にならないと無理でしょうが、どうして自分の子が指をしゃぶってばかりいるのかという視点も大事かなと思いました。

2008/5/10「医療センター」
今日はかなり涼しくなりました。当院も今日は暖房を久しぶりに入れました。風邪をひかないように今日は少し暖かい服装のほうがいいでしょうね。
本日の午後4時から10時まで医療センターの勤務です。救急は小児科医の宿命と思っていますが、なじみのない患者さんがほとんどなので患者さんの家族がどういう考えでおられるかが分かりづらく気を使います。

2008/5/9「汗を流そう」
暖かいというより暑い日もあって、お子さん方もよく汗をかくようになられたでしょう。汗が皮膚に残っていると皮膚の上で細菌が繁殖しやすくなります。ということで「とびひ」という皮膚の細菌感染の患者さんが少しずつ増えてきています。予防は汗を流すことです。石鹸は必ずしも必要ではありません。