浜田小児科内科クリニック|尼崎市南塚口町の小児科・内科・アレルギー科

がんばったね、かな?

5歳くらいの子供が予防接種に来て、自分では診察室の椅子に座ろうとせず、母親が抱いて一緒に座ったけれど、暴れたおして私へも含めて殴る蹴る。それを何とか押さえつけて予防接種をすませて、終わった後に母親が「よくがんばったね」と子供に言ってるのを聞き、なんか違うんじゃないの、と思ってしまいました。

「してはいけないこと」の基準を母親など養育するものがまず定めることが重要で、そのときの気分次第で叱ったり叱らなかったりするのは、子供が戸惑い不安になるばかりでよくありません。基準を定めた上で「してはいけないこと」をしっかりと子供に伝えていくのは、子供がまだ言葉を理解できない時からでも行うべきではと思います。

人間は社会の一員です。一員である限り自分以外の人に迷惑をかけるような行動は自らが抑制していかないといけません。ところがこのところ人に迷惑をかける行動とはどういうことかが分からない、想像できない人が多いような気がします。所かまわず地べたに座ったり、歩きながらとかバスや電車の中で平気で物を食べる人など、それが周囲の人に不快な思いをさせているとは気付いていないのでしょう。電車の中で物を食べなくても、もう少し我慢して家で食べれば良いのにと思ってしまいます。

子供が「してはいけないこと」をした時にそれを止めさせるというのは、つまり我慢させるということです。「してはいけないこと」をなぜ我慢してまで止めないといけないのかも子供に伝えるべきだと思います。伝え続けておれば子供自身も我慢の理由を考えるでしょうし、周りの人がどう思っているかというような想像力も働かせていけるようになると思います。

予防接種は子供が病気にならないために必要なものであって、少々痛みを伴ったとしても我慢しようと伝えるべきではないでしょうか。子供が我慢をすれば、親はそれをちゃんと評価してあげましょう。評価してあげれば、我慢ができた自分に対して自信を持つようになると思います。